石の名前を突き止めるには、ちょっとした手順が必要です。地質学者は色だけで岩石を見分けたりはしません。短い観察と簡単なテストを順番に行い、そのたびに候補を絞り込んでいきます。このガイドでは、家にあるものを使って同じ順番で進めていきます。

岩石か、鉱物か

手にしているのがどちらなのかを知っておくと役立ちます。同じテストでも、岩石と鉱物では意味が変わるからです。

  • 鉱物は、決まった化学組成と規則正しい内部構造をもつ、自然にできた固体です。石英、方解石、長石、黄鉄鉱などが鉱物です。1種類の鉱物は、どこを見ても同じように見える傾向があります。
  • 岩石は、1種類以上の鉱物が混ざり合ったもので、ガラス質やほかの岩石のかけらを含むこともあります。たとえば花崗岩は、おもに石英、長石、雲母でできています。よく見ると、いくつかの種類の粒が見えることがよくあります。

色の異なる粒がはっきり見える石なら、ほぼ間違いなく岩石です。全体が均一な素材で、平らな結晶面があるようなら、1種類の鉱物かもしれません。このあと紹介するテストの多く(条痕、硬度、光沢)は、1種類の鉱物か、岩石の中の鉱物の粒1つに対して行うのがいちばん効果的です。

1. 洗って、新しい面を探す

風化は石の本当の姿を隠してしまいます。鉄さび、地衣類、ほこり、くすんだ外皮のせいで、白っぽい岩石が茶色に見えたり、光沢のある石がくすんで見えたりします。

  • 水とやわらかいブラシで洗います。酸や漂白剤は鉱物によっては傷めてしまうので避けましょう。
  • 割れた面や、新しく露出した面を探します。
  • ルーペや拡大鏡を使い、明るい自然光の下で観察します。10倍のルーペは、岩石の識別でいちばん役に立つ道具です。

2. 色、粒の大きさ、組織を見る

色は誰もが最初に気づくポイントですが、それだけではいちばんあてになりません。石英だけでも、ごくわずかな不純物によって、無色透明、白、紫、ピンク、煙のような茶色、黄色になります。色は手がかりとして使い、決め手にはしないでください。

粒の大きさと組織からは、もっと多くのことがわかります。

  • 肉眼で見える粗い粒なら、花崗岩のように地下でゆっくり冷えた岩石か、砂や小石でできた堆積岩が考えられます。
  • ルーペが必要な細かい粒なら、玄武岩のように急に冷えた岩石か、頁岩のように細かい堆積物が考えられます。
  • 粒がまったくないガラス質なら、黒曜石のような火山ガラスが考えられます。
  • 穴や気泡(気孔)があれば、軽石やスコリアのように溶岩からできた岩石を示しています。
  • 層があれば、長い時間をかけて積もった堆積物が考えられます。
  • 縞模様や、薄片状の鉱物が並んだつやがあれば、変成岩が考えられます。

3. 光沢を確かめる

光沢とは、表面が光をどう反射するかのことです。新しくきれいな面を見て、どの言葉がいちばん当てはまるか考えてみましょう。

  • 金属光沢: 磨いた金属のような輝き(黄鉄鉱、方鉛鉱)。
  • ガラス光沢: 割れたガラスのような輝き(石英)。
  • 真珠光沢: 貝殻の内側のようなやわらかなつや(一部の雲母、滑石)。
  • 絹糸光沢: 繊維状のきらめき(繊維石膏)。
  • 脂肪光沢・蝋光沢: 少し油を塗ったような見た目(一部の石英の変種、霞石)。
  • 土状光沢: まったく輝きがない(粘土、チョーク)。

金属光沢か非金属光沢かという最初の分かれ目は、どんな識別表でもとても役に立ちます。

4. 条痕テストをする

条痕とは、鉱物の粉の色のことです。鉱物の角を、釉薬のかかっていない白いタイルの裏にしっかりこすりつけます(浴室用タイルのざらざらした裏面が使えます)。あとに残る粉の色は、標本そのものの色よりも安定していることがよくあります。

鉱物 よく見られる色 条痕
赤鉄鉱 黒、銀灰色、赤 赤褐色
磁鉄鉱 黒 黒
黄鉄鉱 真鍮のような黄色 緑がかった黒
金 金色 金色
針鉄鉱/褐鉄鉱 茶色、黄褐色 黄褐色
石英、長石 さまざま なし(タイルより硬い)

素焼きのタイルの硬度はおよそ6.5〜7です。それより硬い鉱物は、条痕を残すかわりにタイルに傷をつけます。それ自体が役に立つ手がかりになります。

5. 硬度を調べる

硬度とは引っかき傷への強さのことで、1(滑石)から10(ダイヤモンド)までのモース硬度で表します。爪、銅貨、鋼のナイフ、ガラス片があれば、おおよその硬度を見積もれます。石の目立たない新しい部分を引っかいてみて、跡を指でこすり、金属や粉がついただけではなく本当に溝ができているかを確かめてください。

硬度は、よく似た石を見分けるいちばんの方法の1つです。石英(7)はガラスに簡単に傷をつけますが、方解石(3)はつけられません。家でできるモース硬度テストのガイドでは、方法と、よくある失敗の避け方を詳しく解説しています。

6. 磁石を近づける

強力な磁石を石に近づけます(冷蔵庫用の磁石では弱すぎることが多く、小さなネオジム磁石が理想的です)。

  • 強く引きつけられる: 磁鉄鉱か、磁鉄鉱を多く含む岩石の可能性が高いです。多くの隕石に含まれる鉄ニッケル金属も強く反応します。
  • 弱く引きつけられる: 磁鉄鉱や磁硫鉄鉱を少し含んでいるのかもしれません。玄武岩のような黒っぽい火山岩の多くは、磁石をわずかに引きつけます。
  • 引きつけられない: 岩石や鉱物の大部分はこれにあたります。

磁石にくっつく石が特別とは限りませんが、重くて黒っぽい外皮もあるなら、隕石かどうかの見分け方を読んでみてください。

7. 重さを感じる

密度(比重)とは、ある物質の重さを同じ体積の水と比べたものです。花崗岩、砂岩、石灰岩など、よくある岩石のほとんどは水の約2.5〜3倍の重さです。慣れてくると、手に持っただけでその違いがわかるようになります。

同じくらいの大きさのふつうの石と比べてみましょう。大きさのわりにずっしり重く感じるなら、金属や、重晶石、方鉛鉱、赤鉄鉱、磁鉄鉱のような密度の高い鉱物を含んでいるのかもしれません。異様に軽く感じるなら、軽石や多孔質の岩石か、そもそも岩石ではない可能性があります(石の山にはガラス、スラグ、プラスチックが紛れ込んでいることがあります)。

8. へき開と断口を見る

鉱物がどのように割れるかは、原子の構造で決まっています。

  • へき開とは、平らでつやのある面に沿って割れることです。雲母は薄いシート状にはがれ、方解石は斜めのブロック(菱面体)に割れ、岩塩は立方体に割れます。
  • 断口とは、不規則に割れることです。石英やガラスには、貝殻の内側のようになめらかな曲面ができる貝殻状断口が見られます。

透明な石のどれなのか迷っているなら、石英、方解石、それともガラス?をご覧ください。

岩石の種類を判断する

観察が終わったら、岩石を3つの主なグループのどれかに分類します。これだけでも候補はぐっと絞られます。

岩石の種類 でき方 手がかり 例
火成岩 溶けたマグマや溶岩が冷えて固まる 結晶がかみ合い、層はない。火山性ならガラス質や気泡がある 花崗岩、玄武岩、黒曜石、軽石
堆積岩 堆積物の層が押し固められ、くっつく 粒や小石が見える、層がある、化石を含むこともある。やわらかいことが多い 砂岩、頁岩、石灰岩、礫岩
変成岩 もとの岩石が熱と圧力で変化する 縞模様、並んだ薄片状の鉱物、きらきらしたつや。とても緻密 粘板岩、片岩、片麻岩、大理石、珪岩

簡単な目安をいくつか紹介します。化石を含む岩石はほとんどの場合堆積岩で、酸をかけて泡立つ岩石は石灰岩か大理石(どちらも方解石でできています)の可能性が高いです。見つけた場所も手がかりになります。国の地質調査機関が無料で公開している地質図を見れば、その場所にどんな岩石があるかがわかります。

答えを確かめる

テストで候補がいくつかに絞れたら、信頼できる野外図鑑や博物館のコレクション、オンラインの鉱物データベースと照らし合わせてみましょう。写真だけでなく、すべての観察結果を比べてください。色は一致しても硬度や条痕が一致しなければ、まだ探し続ける必要があります。

写真による識別を使えば、この作業を早められます。AI Stoneは、その岩石や鉱物の有力な名前とあわせて、想定される条痕、硬度、光沢、磁性、密度を表示するので、自分で行った条痕テストや引っかきテストで候補を確かめられます。ただし写真では硬度や化学組成は測れないため、判断が難しい場合に決め手となるのは実際に手を動かすテストです。

ヒント: 観察結果は、毎回同じ順番で書き留めておきましょう。色、光沢、条痕、硬度、磁性、重さ、割れ方の順です。短いメモがあるだけで、資料と比べたり、地元の鉱物クラブに相談したりするのがずっと楽になります。

見つけた石が珍しそうだったり、価値がありそうだったり、宇宙から来たものかもしれないと思ったりしたら、地元の鉱物クラブ、大学の地質学教室、自然史博物館に持ち込んでみてください。専門家なら、家庭用のキットや写真ではできないテストを行えますし、喜んで手を貸してくれる人も多くいます。